バッティングといえば、手袋が当たり前になった今だけど…
いまではプロでもアマでも、ごく自然に使われているバッティンググローブ。
だけど、昔の野球選手は素手で打つのが主流だった。
松井秀喜やイチローのように「手袋派」が少数いた時期もあったが、
それでも、ここまで一般的になったのには、ちゃんとした理由がある。

昔の野球は“素手で打つ”のが普通だった
昭和の球児を描いた映画や写真を見ると、
ほとんどの選手が素手でバットを握っている。
滑り止めは松ヤニ、指先のマメは“努力の証”。
そんな時代が長く続いていた。
それでも、90年代に入る頃から急速に
バッティンググローブが広まり始めた。
では、何が決め手になったのか。
普及の理由① 「グリップ力が圧倒的に上がった」
最大の理由は、やはりこれだ。
バッティングはミリ単位でバットの角度が変わる世界。
手が少し滑るだけで、打球の伸びも方向も変わってしまう。
バッティンググローブは
●合成皮革による高いグリップ力
●汗をかいても滑りにくい加工
●バットを指先で“つまむ”ように握れる感覚
これらによって、ミート力が一気に安定した。
「素手で頑張るより、確実に打てる」
この性能差が、普及を後押しした。
普及の理由② “マメ”と“痛み”から選手を守った
素手で振り続けると、どうしても手のひらにマメができる。
潰れれば痛むし、練習量にも影響が出る。
一説によると、これが原因でシーズンを棒に振った選手もいたという。
バッティンググローブは
●摩擦ダメージを軽減
●長時間の練習を可能にする
●フルスイングを続けても皮膚が守られる
という“コンディション管理ツール”でもあった。
プロ選手が使い始めたことで、
「ケガをしないための必需品」という認識が広まった。
普及の理由③ 金属バット時代との相性が良かった
70年代から80年代にかけて、金属バットが広く使われるようになった。
金属は木製バットよりも衝撃が手に響きやすい。
寒い日に芯を外したときの“ビーン”という痛みは、多くの球児が経験しているはずだ。
バッティンググローブは、この衝撃を分散し、
ミスショット時のダメージを大幅に軽減してくれる。
金属バットの普及 → 手袋の必要性上昇
という流れが、さらに浸透を加速させた。
そして“当たり前”になった
90年代以降、メーカーもデザイン性やフィット感を追求し、
プロ選手の愛用もあって、
バッティンググローブは“野球の標準装備”へと変わっていった。
いまでは
●パワーヒッター向けの厚手タイプ
●ミート重視の薄手タイプ
●手首サポート機能付き
●通気性特化型
など、スタイルに合わせて選べるほど進化している。
今日のミニ雑学まとめ
●昭和の頃は素手で打つのが普通だった
●グローブ普及の理由は「滑り止め」「ケガ予防」「金属バットとの相性」
●選手のコンディション管理と技術向上に大きく貢献した
バッティンググローブは、
ただの“手袋”ではなく、
野球の進化を裏から支えた小さな道具でもあった。
