昔のグローブといえば“茶色”だった
少年野球の頃を思い出すと、まっ先に浮かぶのは茶色のグローブだ。
黒や赤、青といったカラフルなモデルが増えたのは、ずっとあと。
でも、なぜ昔は茶色が当たり前だったのか――と聞かれると、意外と答えづらい。
実はそこには、素材と技術、そして時代背景が深く関わっていた。

そもそも、革そのものが“茶色”だった
グローブは長く 天然の牛革が基本素材だった。
革は加工の段階で「なめし」という処理を行うが、この工程を経て生まれるのが、
あの自然な茶色だ。
つまり、グローブの原型は“革本来の色そのまま”。
これがそのまま“野球グローブの基本色”として定着していったわけだ。
染色技術がまだ今のように多彩ではなかった
昭和の初期〜中期ごろ、革の染色は今ほど自由度が高くなかった。
濃い黒や深い赤は作れても、安定した発色のカラーモデルを大量生産するのは難しかった。
さらに、染料によっては強度が落ちたり、革が硬くなったりすることもある。
野球の道具は耐久性が命。
となれば、もっとも信頼できる「茶色」が選ばれ続けたのも自然な流れだった。
プロ野球でも“茶色=標準仕様”が長かった
プロ野球選手たちも、長く茶色のグローブを使っていた。
テレビ中継が白黒の時代には、派手な色にする意味もない。
むしろ、革の品質や型の良さが重視されていた。
選手たちにとっても、茶色は“見慣れた色”。
色で悩む必要がなく、道具の選択をシンプルにしてくれていた。
時代が進み、ようやくカラー化が進む
昭和の終わり頃から技術が進歩し、革の強度を保ったまま
鮮やかな色を染められるようになった。
その結果、黒・赤・オレンジ・青……と、
選手の個性を表せる多彩なモデルが登場していく。
だが、いまでも根強い人気があるのは茶色。
“革らしさ”や“クラシックな雰囲気”が残る色として、
やっぱり野球人の心をつかんで離さない。
今日のミニ雑学まとめ
●グローブの茶色は革そのものの自然な色
●昔は染色技術が限られ、強度を保つために茶色が最適だった
●プロ野球でも長く茶色が“標準モデル”だった
●カラーモデルが増えた今でも、茶色は“原点の色”として人気

