昭和の炊飯器といえば、カチッとスイッチ一つ
昭和の食卓の中心といえば、やっぱり炊きたての白いごはんだろう。
台所の片隅で「カチッ」とスイッチが下がり、
しばらくすると湯気混じりの甘い香りがふわっと広がる。
今では当たり前の炊飯器だけど、
その“当たり前”が形になるまでには、意外と長い歴史と工夫があった。

昭和初期の炊飯器は“自動じゃなかった”
昭和30年代以前、炊飯器といっても今のように自動ではなかった。
お湯を沸かすだけの電気釜に、
鍋を入れて湯せんで炊くスタイル。
つまり、
「火加減を自分で調整しないといけない、半手動タイプ」
だったわけだ。
ごはんは炊けるが、焦げたり柔らかすぎたり、
“炊き上がりは腕次第”という、なかなか難しい家電だった。
真の革命は“自動スイッチ式”の登場から
昭和30年代半ば、ついに画期的な炊飯器が生まれる。
それが、自動スイッチ式。
仕組みはシンプルで、
釜の中に取り付けた金属板が加熱される
温度が一定まで上がると、磁石が外れてスイッチが「カチッ」と戻る
自動的に炊飯が終了する
この“マグネット式スイッチ”が大ヒットの理由だった。
火加減は炊飯器まかせ。
これにより、
「誰でも同じ味のごはんが炊ける」
という夢の家電になった。
その後の進化は「いかに釜を熱くするか」
昭和40〜50年代になると、炊飯器は一気に進化を始める。
● アルミ釜 → 厚釜へ
薄いアルミ釜から、重みのある厚釜へ。
熱をムラなく伝え、よりふっくら炊けるようになった。
● 底面ヒーター → 二重ヒーター
最初は底面だけを加熱していたが、
側面にもヒーターを巻いて熱包囲型に。
お米がよりしっかり踊るようになった。
● “保温”が当たり前に
昔の炊飯器は炊き上がったら終わりだったが、
保温機能が付いてからは、
“ごはんが冷めない生活”が広まった。
こうして昭和の終わり頃には、
炊飯器は「台所の主役家電」と呼ばれるほどになったわけだ。
そして平成へ──IH炊飯が登場
昭和から平成に入る頃、
ついにIH(磁力加熱)炊飯器が登場する。
釜そのものを発熱させることで、
従来のヒーター式より高火力・高温が可能に。
昭和の炊飯器が“火加減を担当する家電”だったのに対し、
平成の炊飯器は“米に合わせて火を操る家電”へと進化した。
今日のミニ雑学まとめ
昭和初期の炊飯器は「半手動の湯せん式」だった
本当の革命は、マグネット式スイッチによる自動炊飯
その後は厚釜・二重加熱・保温などが次々に追加
現代のIH炊飯器は、昭和の技術の積み重ねの上に成り立っている

